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自重できなかった人の何かの捌け口
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#今年あなたがよく呟いた言葉各部門ベスト1
名詞…「逞」
動詞…「出る」
形容詞…「すごい」
感動詞…「ああ」
カタカナ…「タクマ」
漢字…「難波江」
人名…「池」
http://appli-maker.jp/analytic_apps/8841

これが元凶で…
原案はダンベルの人の池逞R18

やることやってるけど…いつもの感じです
あんまり深いこと考えないで欲しい…












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「タクマさ……っ……」
「……っ」
プレイヤーズラウンジから少し離れたとある部屋。そこから、時折くぐもった声と吐息が漏れていた。
共に試合の後だった。シャワーも済ませ、後は帰るだけ。それなのに。
爽児は逞に覆い被さるようにして床に押さえつけたまま、顔をぐっと近付けた。
「タクマさん、ゴメン……ホントはここまでするつもりなかったんだけど、もう、ムリ」
若干ではあるが、余裕がなさそうに呟く。
そんな爽児の姿は、試合中では決して見ることはできない。それを、至近距離で眺められるのは実に愉快ではある。だが、状況が全く笑えるものではなかった。
逞は、この日何度目かの舌打ちと共に、拳を握り締めた。しかし、それを振り上げる寸前に思い止まる。
この期に及んで、相手の怪我という心配が頭を過ぎるのだから、自分でも大概だと思う。
タクマって優しいよね。
屈託ない声が、どこからか聴こえた気がした。
「ンなわけあるかよ……っ」
殴るのは思い止まっても、それで抵抗するのを止めたわけではない。逞は渾身の力を込めて、伸しかかる爽児を引き離すため、身体を起こそうとした。
その時。
彼らのいる部屋のドアが、ノックされた。
反射的に息を殺した逞の頭に、爽児は自分の上着を被せた。そして、そのまま逞をまた床へと押さえつける。
「誰かいるんですか?」
少しの間を置いて、ドアが開く音と共に躊躇いがちな声がした。それとほぼ同時に、爽児が声を上げる。
「着替え中なんだけど」
「あっ、ゴメン……」
声の主はすぐにドアを閉め、立ち去ったらしい。遠ざかる足音に、爽児の吐く息が重なった。それを聞いて、逞は無理矢理被せられた上着を剥ぎ取りながら、勢いをつけて起き上がる。
「お前、今の難波……」
「ちょ、タクマさん、いきなり動かな……」
瞬間。生暖かいものが、逞の頬を伝った。





***





翌日。
「あれ?爽ちゃん、その顔どうしたの?」
左頬を覆うように湿布を貼った爽児の顔を、ナツが覗き込むようにして眺めていた。爽児は、苦笑しながら答える。
「ちょっとケンカして」
「えっ?お兄ちゃんと?珍しいね」
いかにも興味津々といった態で見つめるナツをいなして、爽児は口を開く。
「それより、今日タクマさん見た?」
「タクマ?まだ見てないけど。試合はないよね?」
「そっか」
「約束してたの?」
「いや、別に。じゃあ、俺そろそろ行くわ。コーチに呼ばれてたんだ」
爽児は口早にそう言ってナツに軽く手を振り、その場を後にした。





***





コロシアムのスタンド席。いつものようにノートパソコンを携えてセンターコートの試合を眺めていた難波江が、不意に呟いた。
「やっぱり、ストロークの強化には下半身の安定って大事だよね」
「それだけじゃねえだろうが、まあ基本だよな」
コートから目を離すことなく高木が答えると、難波江もまた、コートを眺めながら口を開いた。
「随分鍛えてたみたいだけど、普段どんな練習してるんだろう……」
「何の話だよ?」
脈絡なく呟かれた話に高木が思わず顔を向けると、難波江はぱちりと一つ瞬きをして答えた。
「池爽児の話」
「……?」
今コートで戦っているのはどこかの実業団の選手とフリーの選手だ。それなのに、どこから池の名前が出てきたのか高木にはさっぱり見当もつかない。だが、そんなのはいつものことだ。
だから高木は、それ以上深くは考えず、そのままセンターコートへと視線を戻すのだった。
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