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自重できなかった人の何かの捌け口
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酔った勢いだけでかいたモブ凰。
たぶん高校生とか。

続く気もしますが実際かくかは謎。


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ちょっと続いた…











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茹だるような暑さが段々と感覚を麻痺させていく。
真夏の夕暮れ時。ただでさえ嵌め殺しの窓しかない体育倉庫にガタイのいい男が五人もいれば、暑苦しいなんてものじゃない。大体、少し前までかなりハードな練習をしていて体温も上がっているというのに、コイツらは何を考えてるんだろう…
梁の剥き出しになった天井を眺めながら、凰壮はそんなことを考えていた。しかし、それも面倒となって目を閉じる。
光を遮断した世界で、ふと風を感じた。
目隠しをして、音を追った感覚が蘇る。耳の奥で、くぐもった鈴の音が聞こえる。かつてのチームメイトの声が響く。
楽しかった記憶と共に、凰壮の口元は自然と綻んだ。
「何、笑ってンだよ?」
耳触りな声に、飛ばしていた意識と感覚が現実へと引き戻される。それでも凰壮は、笑みを浮かべたまま声の主を睨みつけた。
「てめえ、生意気なんだよ!」
凰壮の腕を押さえつけていた別の男が声を上げ、その腕を更に捻り上げた。だが、凰壮の腕は既に感覚をなくしていて意味がない。それがまた可笑しくて、凰壮は喉の奥で笑いを漏らす。
瞬間、顔面に衝撃を受けた。誰かに殴られたらしいと解ったのは、どろりと喉に流れ込む生暖かい鉄の味を感じたからだ。
充満する饐えた臭いと相俟って吐き気がした。凰壮は、それをじっと堪えた。
やがて、凰壮を揺さぶる動きが止まり、拘束が解かれた。だが、凰壮は動く気になれず、そのまま床に横たわっていた。その内に、周りの気配が消えていく。
完全に静まり返った倉庫の中で、凰壮はぼんやりと窓を見やった。辺りが夕闇に飲み込まれそうな中、窓だけがまだ明るさを残していた。
突然、倉庫の扉が軋んだ音を立てた。誰かが来たのだろうと思ったが、凰壮はやはり動く気にはなれず、窓を眺めたまま横たわったままでいた。顔を出すのが生徒なら、いくらでも追い返すことができるし、教師なら見て見ぬ振りをするだろう。こんな姿を他人に見られるのは不本意だったが、今更どうなるものでもない。
凰壮がそんなことを考えていると、不意に名前を呼ばれた。
「降矢…くん…?」
それは聞き慣れた、しかし、いま一番聞きたくなかった声だった。凰壮はそれに全く反応を示さなかったが、向こうはすぐに確信を持ったらしい。開いた扉の隙間から、やたらとでかい図体を滑り込ませ、大股で近寄ってくる。そして、凰壮のすぐ脇に座り込んだ。
「大丈夫なのか…?」
いつもと全く変わらない無表情で、景浦が覗き込んできた。凰壮の顔を見て微妙に表情が変わる。
立ち上がろうと腰を浮かせた景浦のシャツを、凰壮は掴んだ。
「…大丈夫だから…」
そう言うと、凰壮はゆっくりと身体を起こした。硬い床に寝転がっていたせいで身体があちこち痛んだが、顔には出さなかった。
景浦の視線をずっと感じていた。凰壮はしばし逡巡し、そして口を開いた。
「今日見たことは忘れろよ。」
ぼそりと呟いて景浦を見る。景浦はやはり凰壮をじっと見つめていた。
「降矢くん、僕は一度見たものは…」
「忘れろって言ってんだよ!」
景浦の言葉を遮って凰壮が声を上げた。
しかし、景浦がそれに応えることはなかった。
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気が向いたら続くかなー…?
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