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自重できなかった人の何かの捌け口
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同棲景凰














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ここ数日、目覚まし時計を止めることが彼の毎朝の日課となっていた。とはいえ、それは彼の目覚ましではなく、隣でシーツに包まり、まだ小さな寝息を立てている同居人のものだ。大会が近いからか、練習が厳しいと昨夜も漏らしていた。きっと疲れていて起きられないのだろう。
そうは思っても遅刻をさせるわけにはいかないので、彼は緩やかに、まだ眠りに沈む同居人を揺さ振った。
「凰壮くん、朝だよ。」
名前を呼びながら何度か肩を揺らす。しかし、凰壮は抗議するような唸り声を上げるだけで、一向に目を覚ます気配がない。思えば昨日も、遅刻寸前の時間まで起き上がりもしなかった。
彼は隣を見下ろすと溜息をつき、小さく呟いた。
「凰壮くん、いい加減起きないとキスするよ。」
それは、ちょっとした出来心だった。いつも好き勝手に振り回してくれる同居人を少し驚かせてみたくなったのだ。
だが、そんなことを言ってはみたものの、元々アンフェアなプレイは好まない。本人のあずかり知らぬところで、そういう行為をすることは不本意だった。
彼は、凰壮がまだ規則的な寝息を立てていることに安心すると、先に朝食の準備でもしようかとベッドから立ち上がった。すると、シャツが何かに引っかかったような感覚がある。何事だろうと振り向けば、丸まったシーツから腕が伸び、彼のシャツを掴んでいた。
彼はまたベッドへ腰かけ、シーツを捲る。と、目を瞑ったままの凰壮がぼそりと呟いた。
「…しねーのかよ…」
その様子があまりにも可笑しくて、彼は笑いを堪えつつ、シャツを掴む手を取った。
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